子供のころ、熊本駅を出発した電車が白川の鉄橋を渡ったあたりで、鹿児島本線のレールにそっと耳をくっつけて、遠ざかる「ガタンゴトン」の音をドキドキしながら聞いたのを思い出します。「あぁ、この電車はどんなところへ行くのだろう」そんな夢をみながら。そして1977年、「上野発の夜行列車降りた時から~」で始まる『津軽海峡冬景色』で私を覚えてくださった方も多いかと思います。電車が私に転機をくれた、不思議な縁を感じます。今も電車で「ガタンゴトン」の音を聞きながら、いろいろな街へコンサートで旅しています。この音「ガタンゴトン」は、時にいろいろな歌を覚えるリズムになったり、時には私を眠りに誘います。電車が夢を運ぶのか、電車が夢に向かうのか……。
- 作者: 吉田戦車
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/01/12
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