吉田電車

子供のころ、熊本駅を出発した電車が白川の鉄橋を渡ったあたりで、鹿児島本線のレールにそっと耳をくっつけて、遠ざかる「ガタンゴトン」の音をドキドキしながら聞いたのを思い出します。「あぁ、この電車はどんなところへ行くのだろう」そんな夢をみながら。そして1977年、「上野発の夜行列車降りた時から~」で始まる『津軽海峡冬景色』で私を覚えてくださった方も多いかと思います。電車が私に転機をくれた、不思議な縁を感じます。今も電車で「ガタンゴトン」の音を聞きながら、いろいろな街へコンサートで旅しています。この音「ガタンゴトン」は、時にいろいろな歌を覚えるリズムになったり、時には私を眠りに誘います。電車が夢を運ぶのか、電車が夢に向かうのか……。

吉田電車 (講談社文庫)

吉田電車 (講談社文庫)

知る人ぞ知る漫画家、吉田戦車さんが書いたエッセイ本です。店頭で見つけたときビビッ!と来るものがあってつい買ってしまいました。前編ほとんどが“電車の旅”におけるちょっとした話題やらできごとなどを面白おかしく書いてあります。ちょっと変わった写真やこの人らしいい奇妙な・不可解な絵が随所に見られて面白かったです。なかなか読みやすかったかな。好き嫌いと好みが分かれる本だとは思います。もちろん私は前者の方です。ちなみに「吉田戦車」と「やわらか戦車」は全くの別物ですよ。。