東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~

読みました。2006年度の本屋大賞受賞にも選ばれ、今話題の本です。普段ならすぐ手に入れ読むのだけど、今まであえてそれをしませんでした。私も母を去年の5月に、同じ癌で亡くしているからです。内容は何となく知っていたので、多分冷静に読めないだろうってことでね。思ったとおり涙が止まりませんでした。


読みやすさ、ユーモア、強烈な感動! 同時代の我らが天才リリー・フランキーが骨身に沁みるように綴る、母と子、父と子、友情。この普遍的な、そして、いま語りづらいことがまっすぐリアルに胸に届く、新たなる「国民的名作」。『en-taxi』連載、著者初の長編小説がついに単行本化。

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~

私が母の病名を知ったのが、母が突然倒れ、父と病院に見舞いにいく車の中でした。それが治るのかそうでないのかは、まだ知らないそうで全く分りませんでした。そのときは、まぁ大丈夫だろうって。まさかうちがテレビドラマみたいなことに?って、半信半疑だったと思います。
しばらくして、自宅療養するってことで退院してたって話を聞き、週末に退院祝いってことで、家に様子を見に行くことにしました。その日はちょうど母の日でもあり、退院祝いをかこつけて鉢植えのカーネーションを送りました。実は母の日にプレゼントしたのはこれが初めてだったんですよね。すごく喜んでくれました。言葉にならずも早く良くなってくれよって思いながらね。
そして、翌週、母が突然倒れ救急車で運ばれたと話を聞き、父から大事な話があるから家に来てくれって言われました。病院に向かう車の中、父から聞いた一言。何だか嫌な予感はしながらも、やっぱり…。持って1ヶ月余命宣告でした。
以前見たよりもあきらかにやせ細り、母の姿を凝視でないまま。「また来るね」って言葉だけがやっとでした。また週末になったら見舞いに行こうって、今度はもうちょっと話しをしようって思って。でも結局それが最後に交わした言葉になりました。これだけが未だに心残りです。
癌には激しい痛みを伴う場合とそうでない場合とがあるそうですね。この本でのオカンは、前者だったようです。私の母の場合は後者でした。それが何よりも救いです。


この本で心に残った言葉があります。

母親というのは無欲なものです
我が子がどんなに偉くなるよりも
どんなにお金持ちになるよりも
毎日元気でいてくれる事を
心の底から願います
どんなに高価な贈り物より
我が子の優しいひとことで
十分すぎるほど幸せになれる
母親というものは
実に本当に無欲なものです
だから母親を泣かすのは
この世で一番いけないことなのです

昨日のレビューから一転して重い感じになってしましました。